友達の言葉に傷つきやすい子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

娘は年中組に通っています。親の目から見て、これまでさほど心配することなく育ってきました。けれども最近、娘が友達の言葉をとても気にするようになりました。
「○○ちゃんが私のことをヘンだって言った」とか「☆☆ちゃんが、デブって言う」とか「△△君が私のことをかわいくないって言った」とか、園から帰宅すると、泣いて悲しみます。園の友達もそれほど悪気があっていったわけではないと思うのですが、娘はとてもデリケートなようで、落ち込んでいます。どうしたらいいのでしょうか。

A

:お子さんは、『自他』を意識する力が育ってきたのでしょう。こういった不安定な気持ちになるのは、自然な姿です。この時期には、自意識が敏感になってきて、人の目から見た自分についてのこだわりが強くなってきます。これは、良い方向に受け止めれば、素晴らしい精神発達を遂げるチャンスにもなります。
こういったお子さんは、よくいますよね?
: そうですね。やはり園にも、お友達の言った事を聞き流したり、笑い飛ばしたりすることができずに「こんなこと言われちゃった」と気にするお子さんがいます。
:誰だって自分がかわいく、皆に親しまれる存在でありたいと思うでしょう。けれども、容姿のことをはじめ、努力ではどうしようもないことを言う人が沢山いることも事実です。その人達の心ない言葉を、すべてやめさせることはできないので、お子さんには、それを乗り越える方法を身につけさせてあげる事だと思います。
: どうしたらいいのでしょうか。
:まず、お母さまは、お子さんの『悲しい気持ち』を受容してあげて下さい。そして、お子さん自身が自信を持てるものを見つけて、はっきり言葉で具体的に表現して伝えてあげることです。
そのうえで
「人の嫌がることは言わないような、心の美しい人になりましょうね」
と言葉をかけていくことです。
感じやすく、落ち込みやすい性格のお子さんはよくいますが、慌てず時間をかけて関わることが大切です。
: 園の友達もそれほど悪気があっていったわけではないと思うのですが、とお母さまはおっしゃっていますが。
:お母さま自身がそのようにお考えになることは、とても大事なことです。お子さんと一緒になって、悲しんであげることは大切ですが、怒ったり恨んだりして相手を非難しすぎると、火に油を注ぐような結果になってしまうでしょう。
けれどもお母さまが、相手のお子さんの味方にでもなったように、心無い言葉を善意に解釈し、納得させようとすると失敗します。傷ついた心は、理屈では癒せないからです。お母さまは、一貫して
「おかあさんは○○ちゃんが、誰よりもかわいくて、ステキだと思っているわ」
「笑顔はかわいいし、お声もやさしいし、心も素直でしょ。良いところがいっぱいじゃないの」
というような言葉をかけながら、関わることが必要です。自分の長所を自分で納得ができると、だんだん自信がついてきて、友達の心ない言葉を受け流す力が、すこしずつ身についてくるはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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