イヤな事をされても我慢してしまう子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

娘はおとなしいながらも、自分のことは自分でできる、しっかりした女の子です。そういう意味では、何も心配はしていないのですが、おとなしいせいか、お友達にイヤな事をされても言い返せずに、我慢してしまうことが気になっています。
先日、近所の子ども達と一緒に遊んでいた時にも、そんな様子だったので、後で話を聞いたところ、やはりイヤだと感じていたようです。「イヤなことされたら、イヤだって言わないと、また同じことされるよ」と私が言っても、やっぱりお友達本人には言えないようです。どうしたらいいのでしょうか。

A

:大事なお子さんが不利な思いをしている時には、お母さまはさぞもどかしく、腹立たしいことでしょうね。
: お子さんは、お友達にイヤな事をされても言い返せないようです。
:園でもこのように、争おうとしないお子さんはよくいますよね?
: はい、そうですね。言い返さない事とはまた別の場面なのですが、子ども達がワッと集まるような時に、お友達に先を譲ってあげたりだとか、横入りされても文句を言わずに入れてあげたりするような、お子さんはいますね。
:そんな時には、見ている大人は、もどかしく思うのでしょうが、子ども本人は、案外それほど問題にしていない場合が多いようです。そのようなお子さんは本当に嫌な時は、その場を離れたり、そのお友達とは遊んだりしないものです。
お母さまから聞かれたから「イヤだった」と答えたのであって、それほど耐えられないほどの状態ではなかったのだと思います。
けれども、当たり前のようにどんなことも我慢することが、望ましいとは言えません。お子さんが『自分の意見で物事が変わる』という経験をたくさんしていくことで、だんだん積極的に行動できるようになるでしょう。遠回りのようですが、お母さまはそのトレーニングをなさるとよいと思います。
: それはどういうことでしょうか。
:日常生活の中で、意識的に 「あなたの使うタオル、この花柄と星柄と、どちらがいい?」
「今日のお昼は、ごはんとおそばと、どっちが食べたい?」
「今日は公園に行こうかしら、それともお買い物に行く?」
という、応えられるような問いかけをしていくことです。
子どもは自分の意見が受け入れられることの快感を、覚え、少しずつ、自ら要求を口にすることができるようになるでしょう。そうしたことで、お母さまは、お子さんの好みや欲求が分かってくるとともに、お子さんの性格についての理解が深まってくるでしょう。
: お母さまはお子さんに、イヤな事はイヤと言って欲しいようですが。
:イヤなことをイヤだと言うことだけが、子どもにとって、良いとは限らない場合もあります。このお子さんは、周囲とのトラブルを好まないのでしょうね。それはそれで、とても素晴らしい性格です。思っていても、相手に伝えずに乗り越えられることは、強い心を持っていると言ってもいいでしょう。成長と共に、周りのお友達からは、穏やかで優しい性格の子として、きっと慕われるようになると思います。
お子さんの良い面を見守りながら、様々な場面で、お子さんが存在感や自信が持てるように心がけてあげると伸びていくと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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