息子は比較的いろいろなことができ、園の先生から注意されることも少ない子どもです。けれど、一度やってできなかったことは、二度とやろうとしないし、難しそうなことはやらなかったりするところがあります。
「最初からできなくたっていいんだよ」とか「今はできなくても、練習すれば少しずつできるようになるよ」などと声をかけていますが「どうせできないから」とか「できなかったら恥ずかしい」などと言います。もっとチャレンジさせるためには、どうしたらいいのでしょうか。
M:知的に発達したお子さんであるために、自分の行動の評価ができるのでしょう。一度やってできなかったことは、もうやらないとのことですが、具体的にどのようなことなのでしょうね。
T: たとえば、私が以前受け持った女のお子さんなのですが、その子のお姉さんが、体操教室に通い始めたところ、自分も行きたがったため、お母さまが一緒に連れていったそうなのです。でもいざ、みんなが鉄棒をしているところを見ると、自分には無理だと感じたのか、絶対にやりたがらずに困ったというお話を聞いたことがあります。
M:お子さんは、何事にも自分の目標のようなものを定めて、納得のいくようにチャレンジしているのでしょう。やらないのではなく、どうしたらできるようになるのか、今じっくり考えているところなのだと思います。
親や周りの評価や期待が強い時、子どもはそれに対応しようと緊張し、自然でのびやかな行動にブレーキをかけてしまいがちです。
T: お母さまは「最初からできなくたっていいんだよ」とか「今はできなくても、練習すれば少しずつできるようになるよ」と声をかけているそうですが。
M:こういったもっともな期待が、かえって子どもを縛ることもあります。お子さんが自分の意思でチャレンジするのをゆったりと待って、自然にできたことは喜んであげる程度にしておくとよいでしょう。
T: お子さんは「どうせできないから」とか「できなかったら恥ずかしい」などと言うそうですが。
M:お子さんの精一杯の自己主張なのでしょう。ネガティブな発言のように思われがちですが、大人の価値観が言わせた言葉です。熱心なお母さまに対して、これだけのことを言えるお子さんは素晴らしいと思います。
T: どうしたらいいのでしょうか。
M:比較的いろいろなことができるお子さんですから、焦らずにお子さんの自然な育ちをゆったりと待ちつつ、過度な要求を持ったり、特訓させたりすることから、お母さま自身が解放されることです。