わんぱくで短気な二男の育て方について ▶小3・5歳女児のお母様より

Q

ふたりの息子の子育てに日々、悪戦苦闘しています。二男は、わんぱくで元気です。しかし、すぐにカッとなるので困っています。兄と物の取り合いになると、周りのおもちゃやコップを投げたり、物を壊したりすることが度々あります。園でも、クラスのお友達とケンカになると、ものすごい叩き方をしたり、椅子を投げたり、先生も手に負えない時があるようです。
また、そんな時には興奮して言葉も乱暴になり「おまえなんかやめちまえ」「しんじゃえ」などと叫びます。私は、とにかく二男の気持ちを落ちつけてから、話すようにしているのですが、このままで大丈夫なのか、心配です。

A

:昔から、二男坊のやんちゃ話はよくありますが、このご相談はちょうど、そのわんぱくさが本格的になりだした時期のお話のようですね。
: それはどういうことでしょうか。
:上のお子さんが、小学校3年生、つまりよく言われているギャングエイジに入り、心も体も自分では処理しきれないエネルギーを充満させているのでしょう。そして、弟であるこのお子さんもまた、その生活と成長の渦の中で、全く思うようにならないことを溜め込んで、そのうっぷんを発散せずにはいられない状態になっているのだと思います。
周囲のいろいろなことが分かりはじめ、体もどんどん成長している5歳のお子さんが、言うこともすることも、ありったけのエネルギーを使っているのですから、大人がたじろぐのも無理はないと思います。
: 上のお子さんと物の取り合いをする時も、すぐカッとするそうです。
:兄妹というものは、全く宿命的なものです。同じお母さんから生まれ、人としての同等の権利を持っているはずなのに、生まれたのが先か後かの違いだけで、当然のように、兄が上として扱われてしまいます。年齢と体力の差は争えません。ケンカをしてお兄さんに負けてしまった時、周囲の大人達にそれは仕方のないことだと捉えられてしまうと、下のお子さんは常に悔しさに耐えなければなりません。感受性の強いお子さんならば、なおさら、成長と共に、溜め込んだ気持ちが膨らんで、暴れ狂うのは自然の現象でしょう。
: 物を投げたり、園の先生も手に負えない時があるそうですが。
:このような生活環境の中では、家と園の区別は簡単にはつかないでしょう。やり場のない感情の爆発なら、そんなこともしてしまうでしょうね。きっと、そのあとで後悔したり、泣いたり、自分の気持ちを静めることに苦しむのだと思います。お子さんの、この感情を受け止めてあげなければならないでしょう。
: 言葉も乱暴になり「おまえなんかやめちまえ」「しんじゃえ」などと叫ぶそうですが。
:お子さんが、知っている限りの否定的で破壊的な言葉を使うのでしょう。自分がこんなことを言ったら、相手がどう思うかなどと考える余裕はないはずです。
: お母さまは、お子さんの気持ちを落ちつけてから話すようにしているそうです。
:どんなことを話すのかが問題ですが、やはり落ち着いた時に話すことが、大切な対応だと思います。
: どうしたらよいのでしょうか。
:破壊的な行動や、相手を傷つける言葉が、いかに悪いかということを言い聞かせたのでは、お子さんの心の中に、悔しさや、諦めをためるだけで、あまり役には立たないでしょう。
お子さんにとって、自己肯定感の持てる対応が、何よりも大切です。目に見える言動をいさめたり、叱ったりするよりも、どうしてお子さんがこんな乱暴をするのか、どんな気持ちを今爆発させているのかを、考える努力を重ねながら、
「ああ、悔しいわね、残念だったわね」
「大丈夫、わかった、わかった」
という受け方で、お子さんの気持ちがどうしたらおさまるかを、考えてあげることです。
歴史を見ても昔から、兄弟の育て方はとても難しく、優秀な子ども達であれば、それはなおさらです。兄弟ふたりを人として、徹底的に対等に見ること、比べないこと、先ず受容し、共感し、応答してからモデルを示すことが功を奏すると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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