絵本に興味のない子どもについて ▶4歳女児のお母様より

Q

年少組に通う娘は、発達が少しゆっくりで、オムツが取れるのも、言葉が出るのも、周りのお子さんに比べて、若干遅い方でした。
最近、絵本を読み聞かせをするのですが、途中で絵本とは別の物に興味が移ってしまったり、違うところをぼんやりと見ていたりするので、最後まで読みきることが難しいです。私が選ぶ絵本は、『3匹の子ぶた』や『さるかにがっせん』のようなものなので、それほど難しくはないとは思うのですが、もっと、短いお話を選んだほうがよいのでしょうか。

A

:絵本を読み聞かせるのではなく、親子が絵本を使って触れ合い、語り合うことが、幼児期に求められる姿です。内容の理解を言い始めたら、絵本は、とたんに面白くなくなってしまうでしょう。
: 絵本の読み聞かせ中に、お子さんの気持ちが別の物に移ったり、ぼんやりすることがあるそうですが。
:お母さまは、ひとつのストーリーを一生懸命に伝えようとしているため、お子さんがそのペースに、のってこない事を心配なさるのかもしれません。けれども、絵本の内容が理解できない時に、途中で子どもの気持ちが。他の事に移ることは、いくらでもあることです。また、3・4歳の生活年齢では、絵本の世界に興味が持てなくても、一生懸命読んで下さっているお母さまのそばにいたいために、ボーっと別のところを見ているというようなこともあるでしょう。
: お母さまは、『3匹の子ぶた』や『さるかにがっせん』のような絵本を選んでいるそうですが。
:絵本や子どもの本の条件には、子どもの経験でわかる事、面白く興味を持てる事というようなことがあります。子どもの生活経験や、そのお子さんの感性にあったものでないと、喜ばれない事は考えられます。おそらく、これらの絵本は、お子さんにあっていなかったのでしょう。
: もっと、短いお話を選んだほうがよいのでしょうか?
:お話の長さやストーリーが問題ではないと思います。どんな絵本でも、絵を一緒に見ながら、ひとつひとつ知っているものを確認するような気持ちで、語りかけ、言葉のリズムや物の姿、色などを楽しまれるところから、始められたら良いと思います。
「これなんだろうね?」
「何しているところだろう?」
「これ何色かな?」
「ぶたさんは何匹いるの?」
「おおかみは何匹?」
など、子どもが必ず分かる質問をし、分かったら褒めて喜びながら、読み進めていく方法です。そんなことを繰り返していくうちに、それらの物の織りなす変化や広がりに興味を持つようになるでしょう。何といっても、幼児期の絵本に求められるものは、読み聞かせるお母さまとの温かいコミュニケーションにあるのですから。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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