病院が大嫌いで大騒ぎをする子どもについて ▶3歳女児のお母様より

Q

だんだん寒くなり、娘が風邪をひくことも増えてきましたが、娘がたいへん病院嫌いのため、本当に困っています。
娘は病院に入ると、暴れて騒ぐので、受診するギリギリまで駐車場で待つようにしています。いざ受診となると、大騒ぎしながらすごい力で逃げ出して、待合室の椅子の下に逃げ込んでしまうことなどもありました。
こんな状態の時に、娘を怒っても、どうしようもないと思うのですが、他の患者さんや、お医者様に迷惑をかけるため、やはり厳しく叱った方が良いのでしょうか。私もパニックになってしまいます。

A

:子どもの病気に悩まないお母さんはいませんから、少しでもお子さんの具合が悪いと病院へと思われるお母さまのお気持ちはよくわかります。
けれども、病院が好きだというお子さんは、いないでしょう。たいていのお子さんは、嫌がったり、泣いたりするものです。ただ、病気や怪我の苦しさを、お母さんだけにはどうすることもできないと思えば、泣きながらでも、病院について行くでしょう。
:お子さんを病院に連れて行くと、大騒ぎしてしまうようですが。
:先ず、大騒ぎできるということは、それほど急を要さないと考えて、一旦部屋の外に出るか、場合によっては、お家に連れて帰って様子をみるとよいでしょう。
:けれど、やっぱり診て頂いた方がいいですよね?
:その判断は、まさにお母さまの日頃の子どもの観察と関わります。熱が高かったり、明らかにいつもと違うと思ったら、少し時間をかけても落ち着かせて、診て頂いた方が良いでしょう。
お子さんの鼻風邪や便秘、ちょっとした切り傷や火傷などでしたら、家庭の常備薬などで対応する習慣をつけることも必要です。風邪をひいたら、水分や栄養を摂らせて、温かくして寝かせておけば、たいていは2、3日で治ります。寝るのを嫌がって駆け回るようでしたら、大丈夫だと思っていてよいでしょう。自然治癒力という言葉がありますが、子どもはいろいろな病気に罹りながら、自分の力でそれを治して免疫力・抵抗力を身に着けていくものです。お子さんの体力や治癒力を日常的に育てて、それを信じて、病院に連れていかなければならない時を、判断する。これはお母さまの大切な役割でもあります。
また、日常的にかかりつけのお医者様との信頼関係を築いておくことが、子育ての大切な要件です。お子さんの様子がいつもと異なり、ぐったりとしていたり、どうも元気がない、といった場合には、かかりつけのお医者様に診て頂くことが、最も適切だと思います。子ども自身もお医者様との関係が親しくなれば、大騒ぎして泣く事もないでしょうし、お医者様の方も、子どもが泣く事を承知して受け入れてくれるでしょう。
:病院で大騒ぎをした際には、子どもを厳しく叱った方が良いのでしょうか。
:叱ったところで、お子さんは、全身で自分の思いを主張して、叱られたことを受け入れられないでしょうから、さらに大きな騒ぎになってしまうと思います。子どもは、今までの経験から、病気の治療に対する恐怖心で泣き騒いでいるのですから、いくら説明しても聞く耳を持たないでしょうし、叱っても無駄だと思います。
:では、どうしたらよいのでしょうか。お母さまもパニックになってしまうと言っていますが。
:お母さまがパニックになってしまうことはよくわかります。けれども、病院に連れて行く第一の目的は、病気への対応を正しくしたいということですから、すぐ何とかしなければならない時以外は、ひとまず、お家に連れて帰っても問題ないと思います。そして、様子を見て、落ち着かせてから、ご自分でできる範囲の対応をなさってから次の判断をなさるとよいでしょう。
普段は元気で物わかりの良い子どもでも、病気の時は本当にわけが分からなくなるものです。とにかく怖いし、具合も悪いからです。そんな時に叱るという方法が、決して良いとは言えません。慰めて安心させながら落ち着いて対応する方が、ずっと解決への近道です。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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