気に入らないと奇声を発する子どもについて ▶3歳女児のお母様より

Q

年少組に通い始めた娘は、家でも園でも、気に入らない事があると「キー」と奇声を発します。外出する際に靴が上手く履けない時や、食事のメニューが自分の好みではない時など、大きな声で長時間騒ぐのです。私が叱っても泣き叫ぶばかりで治まりません。こんな時にはどう対応したら良いのでしょうか。

A

:子どもの奇声は、本当に大変ですよね。これには、誰でも閉口してしまうものです。お母さまのお気持ちは、とってもよくわかります。情緒的に敏感で、感受性の豊かなお子さんの中には、何かを非常に強く感じながら、それをうまく表現できない時に「キー」とか「キャー」とか機械のような声を出してしまう時があります。靴が上手く履けないというような、大人にとっては全く日常的で些細なトラブルや自分の思い通りにならない事が、そんなお子さんの情緒をいっぺんに不安定にしてしまうようです。
: そんな時、お母さまはどのように対応したら良いでしょうか。
:お子さんが泣く時には、ほとんどの場合、言葉にできない欲求がある時です。さっと抱き上げて、「そのお声は、みんなが嫌に思うのよ。何が欲しいのか、どうしたらいいのか、お母さんに聞かせて」と叱らずに尋ねる事です。
私達大人と同じように子ども達もまた、心の深部が乱れている時には、イライラや焦りなどを自分自身で克服することができないものです。その時、誰かのちょっとした言葉かけや、視点をそらさせてもらうことで、気持ちが治まる事があります。
また、子どもが、大勢の人のいるところで、泣いたり奇声を発すると、お母さまはそれに困ってパニックになり、落ち着いてお子さんを抱いたり、静かに気持ちを受け入れる事が難しくなるものです。その不安や焦りがお子さんにうつると、より一層厄介な事になりますので、先ず、10秒でも良いので、ご自分の気持ちを落ち着かせ、焦らず対応する事が大切です。
: 止まらずに、まだ泣き続けているような時にはどうしたら良いでしょうか。
:そんな時には、お子さんを抱いて、どこか離れた所、あまり人の目や耳の届かない静かな所へ連れ出して、落ち着いてお子さんの気持ちを聞き出すことに努めて下さい。お母さまが、お子さんに言い聞かせている間、泣き続けていることが多いですから、しっかり耳を傾け、目で語りながら、お子さん自身に話すように促すことが大切です。そうすると、しばらく泣いていても、お子さんは、伝えようと考え始めます。受け入れられた安心は子供を落ち着かせるものです。
個人差はありますが、こういったことを繰り返すうちに、3歳から4歳くらいで、ある程度、自分自身をコントロールする力も育ってきます。それまでは「これもこの子の感受性が豊かな証拠」と受け止めてできるだけ、心を乱さず対応するように努められたらよいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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