お腹が痛いといって幼稚園に行きたがらない子どもについて ▶3歳女児のお母様より

Q

入園して数カ月が過ぎ、これまでは嫌がる事もなく元気に幼稚園に通っていました。けれどここしばらく、朝になるとお腹が痛いと言い始めます。最初は本当に便もゆるめだったので、園を休ませていたのですが、体調が良いにも関わらず、お腹が痛いからと休みたがります。「そういうズルイことはダメ。ちゃんと幼稚園に行きなさい」と叱ると、うずくまったり、トイレから出てこないこともあります。私としては、とにかく園に行かせなければと、必死になっているのですが、このような関わりで大丈夫なのでしょうか。

A

:幼い子どもが、必死で自分の気持ちを伝えようとしているのですね。こんな時は、幼稚園に行く事を急がせるよりも、どんなことが原因か考えて、子どもの気持ちを受容するところから始めるのが一番です。
:朝、お腹が痛いというそうです。
:一生懸命新しい生活に適応しようとして、疲れてしまったのかもしれませんね。便がゆるくなったのも、悪い病気にかかったというより、精神的な原因があったのだと思います。
:どのような原因が考えられますか。
:園生活にある場合、お家にある場合、子ども自身の体力にある場合などいろいろあります。子どもは、どう表現したらよいかわからないので、とにかく、お家でお母さんのそばにいられるよう、「お腹が痛い」と言ったのでしょう。理由を考えるところなどは、かわいい賢さですね。
:原因が園にある場合、どんなことが考えられますか。
:3歳といえば、個人差も大きく、特に入園当初はどうしても、個々の子どもへの配慮が行き届きにくく、全体的な対応で、きりきりまいをしていますよね。お話しも、紙芝居も、お歌も、生活面でも、先生自身がどうやってこの集団に対応して行ったら良いか、無我夢中になりがちです。
そんな時につい、大きな期待を持って入園して来たすべての子を、満足させる事ができない、ということはあると思います。3歳位ですと、お友達同士で遊ぶことも難しいですし、また一方で、誰かが叱られているのをみて、自分が叱られているように感じて、怖くなったりする事もあるでしょう。些細な事でも、楽しくなくなったり、魅力を感じなかったりして、園に行きたくなくなることは、いくらでも考えられます。
:家にある原因には、どんなことがありますか。
:例えば、妹や弟が生まれたり、ご両親の不和を感じて不安になったり、その他の家族や祖父母との関係がぎくしゃくしていたりする時などにも、子どもはお母さんのそばにいたいと思う事が多いようです。
:子ども自身の原因とは、どんなことでしょうか。
:体力がなくなって、気力が落ちてしまうことなどです。きちんと食べていなかったり、寝不足な時、風邪をひいた後に体力が戻っていない時などですね。
:園に行きたがらない時に、お母さまが叱ると、ますます駄々をこねるようですが。
:何故行きたくないのか、お母さまが分かっていないために、お子さんがまだ安定していないのでしょう。そのうえ、園では様々なことが、周囲と一斉に行われますから、家の方が、自由で楽だと感じてしまったのでしょう。
:どうしたら良いでしょうか。
:まずは、先生と相談することから始めるとよいと思います。先生は、自分の関わりに気がつくきっかけにもなるでしょう。
同時に、ゆっくりと、お子さんが、納得して園に行きたくなるまで待つことも大切です。先生と親とが協力して、上手にきっかけを作る事です。
「○○ちゃんは、まだお腹が痛いのね。今日は幼稚園でこんなの作ったから、お家でお母さんといっしょに作ってみてね」 などと新しい刺激を与えてあげる事です。
「お母さんと一緒に、幼稚園の門まで行きましょう。そして、今日はそこまでで、お家に帰りましょうね」
なんていうのもいいです。お友達が遊んでいるのを見ていると、きっと遊びたくなるでしょうから。
:原因がお家にある時には、どうしたらよいでしょうか。
:弟や妹が生まれた場合には、本当に意識的にお子さんをかわいがり、存在感を持たせる工夫をすることです。
家族の不和は、子どもに影響を与えている事を、大人が気付いて、できるだけ早く、おさめることです。
:子ども自身の原因の場合は、いかがでしょう。 :体力と気持ちが備わっていない場合ですから、とにかく焦らず、待っていてあげる事です。必ず、子どもは前進しますから、体力が戻れば、家の中だけでは退屈に感ずる時が来て、園に行きたがるようになると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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