運動が苦手な子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

息子はもうすぐ年長組になります。おとなしいタイプの子どもで、運動的なことが苦手です。最近、園で一緒に遊んでいる友達に「のろま」「どけ」「ヘタだな~」と言われることがあるようで、帰宅すると私に話します。本人は特に、悔しいとかツライといった様子ではなく、もちろん園へ行きたくないと言うこともありません。むしろ、せつないのは私の方で、そんなことを言われないために行動を早くさせたほうがいいのだろうか?とか、園の先生に相談した方がいいのか?など気になっています。どうしたらいいのでしょうか。

A

:大切なお子さんが、無礼で心ない言葉を浴びせられたら、腹立たしくなるのは当然のことです。けれども、なんと穏やかなよいお子さんなのでしょう。かえって頼もしくなるほどです。
:運動することがあまり上手ではない様子です。
:まだ5歳ですし、走ったり、ボールを投げたりすることが、苦手なお子さんはたくさんいるものです。得意なお子さんよりも多いと言ってもいいくらいです。ただ、運動能力は生まれつきの場合がありますから、努力によってそれほど変化することもないでしょう。
:お子さんは、気にしていないようですが、友達に「のろま」「どけ」「ヘタだな」と言われたことをお母さまに話すようです。
:お子さんもきっと、なんとなく良い気分がしなかったのでしょう。けれども、活力的な子供同士の乱暴な言葉など、それほど気にしていないのでしょう。お母さまに、そういった園での出来事を言えるということは、お母さまと良い関係を築けている証拠ですね。また、お子さん自身が、状況を受け止めているということは、精神的にもしっかり発達しているのでしょう。
:お母さまのほうが、せつなくて、運動ができるようになり、行動も早くさせる方法がないかと思っていらっしゃるようです。
:お気持ちはよくわかりますが、運動選手にするわけではないので、それほど気になさることはないでしょう。
慌てんぼうで、粗雑ではない、穏やかなお子さんの性格を考えると、そんなに深刻になることはないと思います。早いとか急ぐことよりも、着実な方がずっと、様々なことが身につくものです。
お子さんの個性をそのままに、大切にしながら自信を持たせてあげられるといいでしょう。
:園の先生にはお話ししたほうがいいのでしょうか。
:お話ししても、しなくてもどちらでもよいと思います。お母さまがどうしても気になるようでしたら、
「息子はお友達にこんなことを言われているようなのですが、大丈夫でしょうか」
などと、様子を聞くように話すと、先生の方もさらに、子ども達の様子を知るきっかけが持てると思います。
いずれは、このお子さんの落ち着きが、クラスをリードする時がくるかもしれません。お母さまは、慌てることなく、お子さんをあるがままに受け入れて、良い方向に解釈しながら、長所をみてあげて頂きたいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.